2011年05月11日

台湾東面・大崙渓

台湾東面の珠玉の1本・大崙渓を登った。
長さ40km、下山路も40kmの超ロングルート。
えげつないくらいに巨岩帯、ゴルジュ、河原が続く、非常にタフなコースをこなした7日目の午後、卑南主山の頂上に立った。雲海の向こうには海岸山脈がかすかに見え、どこまでもぬけるような青い空が広がっていた。

大崙渓を選んだ理由としては1つの理由がある。
17年前、台湾溯渓の第2世代の青島さんをはじめ、若いメンバーの多くは、最初の台湾東面の谷として大崙渓を選んだ。彼らは大水量で厳しい大崙渓の遡行をこなし、9日目の午後に卑南主山の頂に立った。時間切れで、源流域の完全溯行はかなわず、支流から稜線に立ったものの、台湾東面の大水量の谷のほぼすべてのゴルジュを抜けたことは快挙だ。その後の台湾溯渓の方向性を決めた1本だったと思う。さらに、何も情報が無かったこの記録の発表により、この後、台湾の大学を中心とする研究機関により、数多くの生物学の調査が行われたと聞く。

初溯行から17年が経過した。当時30前後の若者も50に手が届こうという年齢になり、気がつけばその後台湾溯渓の第3世代ともいえる僕がリーダーをするような年になっていた。台湾溯渓のタスキは長きにわたり受け継がれてきたが、徐々に受け渡せる人間も減ってきた。しかし、まだまだ台湾東面には未踏の谷があり、長さ50kmを超えるモンスターとも称される谷がある。日本人が強烈な台湾の谷に足を踏み入れてから30年。課題は数多くある。この流れを絶やしてはなるまい。

今回の溯渓は、台湾溯渓の経験の無い若いメンバー中心で狙った。そして台湾側のメンバーには溯渓に情熱を燃やす台湾の大学山岳部OB2名を加えた。そんな若者だけで狙う谷として、再出発の意味を込めて、狙いを大崙渓に据えた。これは、若い者だけでも出来ることを示すためでもあり、そして新たなる流れを作るためでもある。

得られるものは多かった。彼らの考え方や登山の嗜好を知ることが出来た。登山に対する姿勢は真摯で彼らはリスペクトできる存在だった。
かくして山行は成功をおさめ、無事に再スタートを切った。
山行終了後、僕らの拠点となったメンバーのJasmineの家で、ささやかにお祝いし、次のターゲットの話をした。来年もこのメンバーで新たなる谷を狙いたい。充実した山行は自らを高め、そしてその後の人生を実のあるものにしてくれる。1年後の溯渓のカウントダウンが始まった。


ルート:台湾東面・大崙渓〜卑南主山〜小関山〜小関山林道
日程:2011年4月28日〜5月6日(8泊9日)

メンバー:
木下徳彦(36・チーム84)、橋本剛(42・finetrack)、相川創(35・finetrack)、小阪健一郎(22・京都府立医大山岳部)
和田一真(23・チームブランカ)、李佳珊(33・國立成功大學生登山協會)、鄭博文(30・國立清華大學登山協會)



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入渓後、すぐに見られる景色。強烈なくらい壁がせり上がる。

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温泉ゴルジュを登る。

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1日目の疲れを温泉で癒す。

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巨岩帯をショルダーで超える。

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終わりの見えない巨岩帯。この後ドハマりするが、この時はそんなことは考えもしなかった。

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この巨岩の迷路の唯一の抜け道は、巨岩の隙間にわずかに見える光の道のみ。

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これでも渇水で少ない水量。多かったらと思うと恐ろしくなる。

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周囲は登れず、支流は滝。活路を開くため、垂直の壁にロープを伸ばす。(リード:和田)

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この谷の核心の1つ。流されながら対岸に飛びつく相川。

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ゴルジュの中の暴力的なくらいの直線水路。水に落ちたら助からない。ここは木下が機転をきかせた振り子トラバースで抜ける。フォローとはいえ、緊張する瞬間。

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ゴルジュで救助したモモンガのももちゃん。この後、僕の雨具のポケットに入って一緒にゴルジュを突破。

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20mを超える巨岩が続く。人はちっぽけな存在だ。

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ゴルジュの中に現れた河原。谷がくれた宝物。時間も早いがもちろんここに泊まった。

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谷幅は恐ろしいほど狭い。

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キノボリトカゲの固有種(Japalura makiiといいます)

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ゴルジュを超えれず、垂直の壁に活路を求める。

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稜線が近づくにつれ、谷は連瀑で高度を上げる。大崙渓最大の50m滝。

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ここだけ見ればまるで日本のようだ。この景色が標高3000mでも見られる。

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卑南主山。とにかく長かった。7日目にしてやっと登頂。

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深層崩壊の跡が生々しい。土砂崩れの幅だけで1km近くはあったか?

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来年もがんばりまっせ。左から、橋本・相川・木下・和田・小阪の日本人五人衆。


posted by gorge13 at 01:20| Comment(3) | TrackBack(1) | Footmark in the mountain | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
40km!壮大な峡谷から輝く連瀑帯を駆け上がってゆくところ、胸がすくようですね。下山ルートの崩壊がまたすさまじい。
ところであのけものはなんですか?
Posted by mossforeter3 at 2011年05月12日 21:00
1つはモモンガのモモちゃんです。ゴルジュの中に引っかかって、キーキー鳴き声を上げていたので、救助しました。そのまま私の胸ポケットにいれ、ゴルジュを一緒に抜けましたが、その日の晩にご臨終です。弱っていたのですね。和田君のトランクスに包んで火葬しました。
もう一つはキノボリトカゲの固有種です(Japalura makiiといいます)。こいつもゴルジュの中で発見し、救助しました。Jasmineが'Momo-chan♪'と喜んでたな。
実は、これ以外にサンショウウオも発見しています。希少生物の宝庫です。
Posted by きのぽん at 2011年05月12日 21:22
自分は山や沢登りはしないですが、釣りで多少の崖を登ったり下ったりします。

釣りも大事なんですが、景色も大事・・・です。

偶然見つけたこの記事と写真は凄かったです、実際の景色は鳥肌ものでしょうね。

よく無事に帰ってこれましたね。
いいですね!
Posted by 高橋 純 at 2014年02月05日 19:25
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大崙渓(台湾)4/28-5/6
Excerpt: 台湾東面の大崙渓の溯行 4/28-5/6 メンバー:きのぽん、はっしー、そー、わ、けんじり、ジャスミン、ひろふみ 完溯しました。 卑南主山から小關山を縦走し下山。 下山後のアルコール..
Weblog: 京都府立医科大学山岳部 公式ブログ
Tracked: 2011-05-17 18:53
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