2012年10月18日

海と大滝の町から

太陽が山の向こうに落ち、空、海、そして街が少しづつ青くなる。
僕は八町滝の上から、街の灯りを見ながら、はるか下の相賀の街を見下ろしていた。
紀伊半島の谷を登りはじめて7年。紀伊半島の名立たる大滝は大方登ってきた。
その中でも、八町滝と奥八町滝(仮称)を抱える真砂谷は特に忘れることが出来ない谷のひとつである。

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前回八町滝2ピッチ目の壁に敗退の跡として、彼は、紫のスリングとカラビナ、ハーケンを残置した。なんとなくモヤモヤした気持ちを残しながら、花降峠からの道を下山した。
その年の冬、M君は34歳で中アで帰らぬ人となったが、そのM君と登った最後の谷が往古川真砂谷である。

今回、舐め太郎という、ここ5年で新たなに加わった仲間と一緒に登った。
豪快な八町滝は、とにかく厳しい滝。特に2ピッチ目は、舐め太郎渾身のリード。
奥八町滝は登れるように見えなかったが、舐め太郎の情熱に引きずられるように取り付き、きれいに抜けた。
奥八町滝を抜けると、緩やかな流れの脇に昔の炭焼き跡が出てくる。
そして、ここを抜け、右手の斜面を少し登ると、穏やかな台高の山並みが広がっていた。

残るは、弥門川双門の滝、岩屋谷雄滝、摺子谷右俣大滝。来年か再来年には訪れたい。

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posted by gorge13 at 23:29| Comment(0) | TrackBack(0) | Footmark in the mountain | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月28日

頚城の課題

島道川滝ノ内沢---上越のイモ山のひとつであるが、その遡行内容は極めて困難。
日本の数あるゴルジュクライミングの中でも難易度が高い方に入るだろう。

初めて行ったのは7〜8年ほど前のことだ。
ゴルジュと大滝にしか目が行かず、近視眼的になっていた頃の話である。
晴れた夏の1日、富山からの出張帰りに立ち寄り、一条の滝を見に行った。
その時は、ただただその大きさに驚くばかりで、いつかちかいうちに再訪しようと誓ってその場を後にした。

しかし、その後3度に渡って振られ続けた。
2度は現地までいくものの増水の川を見て、車から一歩も出ることなく、転進。
後の1回は、直前の天気を見て、ゴルジュ内で夕立に遭うリスクが高いことから、大杉谷に転進。
そんなわけで一条の滝の落ち口に立つまで、実に5回も計画することになった。これほどまでに時間をかけた谷も珍しいだろう。


元々難しいのは知っていたので、気構えも半端なかったので、想定を大きく超えるような難しさはなかったが、苦しくて厳しい谷だった。
でも、やってみてこの年で出来たことをラッキーだと思った。あと10歳年をとっていたら、きっと根性がなくて途中敗退したかもしれない。
それだけの内容の谷だ。

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この谷は最初の一条の滝で、挑戦するクライマーをふるいにかける。
滝と言っても、内容はアルパインクライミングのルートにおけるAAグレードのピッチそのものだ。
運良くそれを超えたとしても、その後、数回に渡ってさらなるふるいをかけられる。
初日はネイリングを必要とする滝が合計4つ。どれも易しくはない。
朝から取り付くも、無情にも時間はどんどん過ぎていく。

一日目の最後に出てきたのは、洞穴状ゴルジュの中に鎮座する15m滝。
正面から登るのは無理なので、右岸の側壁にロープを伸ばすが、ピンが取れずに難儀する。落ちれば次から次へと支点が飛ぶのは間違いないだろう。
精神的に苦しい登りを40mこなし、そこから懸垂して15mの落ち口についた時には、既に夜の帳が降り始めていた。
滝横の巨大ポットホールが埋まって出来たと思われる小さな河原でささやかな焚き火をし、
落石を避けるために壁に張り付いて眠った。


翌23日、朝起きると、あれほどよかった天気は、雨模様になっている。
一体いつから降り出したのだ?
テン場から2つほど小滝を登ると出てくる8m直瀑の巻きから、この日のクライミングが始まる。
相川が恐ろしい20mの登りをこなして、懸垂すると、その奥には幅1mの直線水路。
そしてその奥には、下部ゴルジュの7m滝が鎮座していた。

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後半のセッションは、姥ヶ滝45mを巻いたところから始まる。
1つ1つの高さは5m前後のものが多いが、微妙な形状に簡単には登らせてくれない。
相川も僕も一度づつ落ちる。


強烈なゴルジュで始まる第四支流の松尾のベンを左に分けると、本流には15mを超える滝をいくつもかけ、稜線が近いことを示し始める。
終日雨の中の行動で疲れていた僕らは、この谷最後の大滝25m滝を明日の課題として残して、ゴルジュの中の水流の脇にタープを張った。
時刻は17時過ぎ。この滝さえ超えてしまえば、あとは稜線までのツメを残すだけだった。

しかし、二日目の晩、滝ノ内はさらなる試練を僕らに与える。
就寝と共に止んでいた雨が再び降り出したのには気づいていたのだが、深夜に気がつくと自分の背中から頭にかけて水の流れに没していることに気づく。
寝ぼけていたが、冷静になって考えてみれば、明らかに増水の状況。
不幸にも1個しかなかったまともなヘッドランプが僕等から機動力を奪い去っており、
僕らは急激に増えた水の中で、ギアをザックに放り込み、靴を履き、着の身着のままで水の流れから脱出し、
流れの脇で全身ずぶ濡れのまま朝まで震えているのが精一杯だった。

この状況は翌朝も全く変わっていなかった。
土砂降りの中、前日に炊いたコメをほうばりながら、上流を眺めるが、すぐ上の最後のゴルジュは通過不能。
もう遡行するという選択肢はなく、下の25m滝落ち口まで濁流の中を戻り、そこから高巻きに入る。
計5ピッチロープを伸ばし、傾斜が緩やかになってからは、ただひたすらにシャクナゲの海の中を上に向かって6時間ほど薮を漕ぎ続けた。
高巻き途中からは最後に残った25m滝も見える。本来登るであろうラインも完全に水の中。あれではどうにもなるまい。

12時半過ぎにやっとの思いで稜線に出てからは、3時間かけて島道鉱泉に下山した。


最後の詰めのみを残してしまったが、この苦しい山行の9割以上をこなしたわけで、ほぼ登ったといっても差し支えないだろう。
それほどまでに僕はこの結果に満足している。
縦走路も決して易しいものではなく、これだけの為にもう一度行こうとは思えない。
どうせやるなら、島道鉱泉で囲炉裏を囲んでおばあちゃんと話をして、のんびり過ごしたい。


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そういえば、途中の高巻きで、草付のトラバースで掴んだ木が折れて大フォール。
20m程落ちて、念の為にコンテしていたロープで止まったが、
つけていなかったら、さらに30m程空をブッ飛んでグランドフォールして死ぬところだった。
安全には細心の注意を払わないと。


島道川滝ノ内沢
2012.9.22-24 ]
木下徳彦(チーム84)、相川創(finetrack)
posted by gorge13 at 01:32| Comment(0) | TrackBack(0) | Footmark in the mountain | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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