2016年07月03日

ゴルジュハマらないゴルジュでハマらないための道具選び

シャワークライミングや泳ぎが連続するゴルジュ突破で、最も気をつけなくてはならないのは低体温症である。夏でも沢の水は非常に冷たく、冷水に浸かり続ける事により、少しづつ体温を失っていく。猛暑と騒がれる日でも、「ああ、汗がかきたい…」と思うのは日常茶飯事だ。体温が下がることによって、判断力の低下や行動不能を引き起こすこともある。以下、パーツごとに装備を分けて解説する。

【ウェア】
ウェットスーツの着用は欠かせない。溺れや低体温症の見地から、着用は常識としたいところである。ノースリーブ・半袖・長袖、半ズボン・長ズボンと様々な種類があるが、手足の自由度を考えると、半袖半ズボンのスプリング、長袖半ズボンのロングスリーブ、ノースリーブ半ズボンのジョンの3種類が良い。厚さは3mm厚が適当である。ゴルジュの場合、ひたすら泳ぎということは珍しく、高巻きや歩きが混じったりと、体温調節が忙しい場合もあるので、上下別売りのセパレートタイプがかなり使えるとも考えている。また、モンベルからベストタイプのものが発売されているが、着脱がしやすい反面、効果は限定される。なお、体にぴったりのものを使わなければ、効果も半減するので注意したい。
その他、水温によって、薄手のウェット素材のスーツやクロロファイバーの下着を着込んだりする。最近は金持ちが増えてきて、ファイントラック製品を身に着けているが、小生は体型が特殊なため、ファイントラックは着れないので、効果の程は分からない。
一番外側には、雨具を着込む。雨具は岩などに擦れてウェットスーツが破れないようにするのと同時に、冷たい水がどんどん新たにウェットスーツに触れるのを防ぐためでもある。これだと手足の関節の自由度をさほど奪うことなく最大限の保温効果を得ることができる。基本的に全身濡れ鼠になるので、ゴア雨具なんていらない。パドリングジャケットを着ている者もいるくらいだ。破れても惜しくない様なボロの雨具で構わないだろう。
ワークマン万歳! 土方ヤッケ万歳!
ただし、ものには限度があるので、100円ショップ雨具を「新時代のスケルトン雨具だぜ」なんて着続けないように。山行最後までもたない。

【ライフジャケット】
泳ぎ主体の沢では、浮力を必要とするため、足の浮かない水中での作業が多い場合には、着ていた方がよい。万が一、さらし場に引き込まれた場合でも、ライフジャケットを着ていれば助かる可能性が高い。またライフジャケット単独でもかなりの保温効果がある。白泡の通過などで引きずり込まれる事もあるので、ある程度の浮力があるものを使用したい。釣具屋などで売っている1000〜2000円の代物は当然浮力がないものが多く、購入時に注意が必要である。ただし、モンベルのライフジャケットは、どちらかというとカヌー向けなので、背中のパットが分厚いのでザックを背負いながらというわけにいかない。
昔は、どこかのメーカーで飛行機の救命救助用にあるような空気で膨らませるタイプが売っていたが、最近は発売されなくなってしまった。非常に残念。そう考えると、船の救命救急用のオレンジのライフジャケット(たぶん浮力7kg程度)がいいってことになるのか・・・。

積極的に水に入る様な行動を行う場合には、浮力がかなり大きいものを使用したい。本場フランスのキャニオニングでは、未知のゴルジュを下降する場合には、浮力14kgという代物を使う事もあるようだ。
数としては、特殊なケースを除き、パーティーで1~2個あれば十分である。

【ヒザ当て、スネ当てなど】
ゴルジュ突破では、ヒザを使った強引なずり上がりをはじめとする様々な技を使う。スネ当てをしていても、終わってみれば、スネは痛々しいくらいに赤く腫れ上がり、傷だらけになっていることも多い。そういう訳で、ヒザ当て、スネ当ては、体を保護するパットのような役割も果たすのであったほうがいい。スネ当てはネオプレーン製のものを使用しているが、ヒザ当てはバレーボールで使うヒザ当て(1000円くらい)を使うといいだろう。別にネオプレーン製にこだわる理由はない。
またグローブは、滝場、ヤブ漕ぎ、草付を登るときに、切り傷を負ってしまうかもしれ、また懸垂下降や確保の際に有効であるので、指先を切った軍手程度で良いので、ぜひ使用したい。

【水中眼鏡、シュノーケル】
水中のホールドを使うようなへつり・泳ぎは結構多く、水中ホールドの確認をするためにも泳ぎの沢では手放せないギアである。シャワークライミングの際にも非常に有効だ。
私は競泳用の水中眼鏡を愛用しているが、シュノーケリング用を愛用している人もいる。波立つ滝壷では抜群の突破力を示すだけでなく、顔にまともに瀑水を浴びながら著っクストン滝を登ったり、顔を水面につけながらショルダーしたりする時にもちゃんと息をしながら粘れるので、確実に突破力が高まる。
これとセットでつば付き帽子で瀑水の直撃を受けないようにするなどの工夫をしている人もいる。


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ギアあれこれ

必要最小限のギアで対応するのは、ゴルジュ突破のもっとも美しいスタイルだが、未知の要素が大きいゴルジュの完全突破には、あらゆる場面を想定すれば、それなりの量のギアが必要と考えられる。シンプルなギアだけで抜けるのが怖くて、毎度のように文明の利器に頼ってしまうのは、自分の実力がないというのも大きい。

【ハーケン】
薄刃タイプのナイフブレード・バガブー、肉厚のロストアロー、楔型のアングルを各種持って行くが、ナイフブレードを使う事が多い様だ。リスが奥でぐにゃぐにゃに曲がっていることもあるので、軟鉄ハーケンも用意している。その他、ハーケン回収具は忘れずに持っていきたい。また、タイオフの際のバックアップなど細かな気配りは絶対に忘れてはならない。ゴルジュの中でのハーケンの紛失は致命的だ。

【イボイノシシ】
草付対策用。別名:ワードホッグ。一時期絶版品だったが、現在はKONGから発売されている。ゴルジュ屋のおまもりみたいなもの。ゴルジュは完全突破するのがもっとも美しいとは思うが、時にはどうにもこうにも突破できない場所もあり、そんな時、悪い側壁の高巻きを強いられることがある。ボロ壁の中では、岩のすき間に打ち込むと恐ろしいほど良く効くことがある。草付、泥壁にしっかり効きさえすれば、人工登攀にも使える。

【ラープ、コパーヘッド、ぺッカー】
ヘアラインクラックや、リスの幅があっても奥行きが全く無い場合に使う。コパーヘッドは、ボルトの抜けた穴に叩き込んだり、水の中からの這い上がりなど、荷重がそれほどかからない場面で使えるが、濡れている壁での使用だけに、決まりが悪く、前進ギアとしての使用では注意したい。ラープはきちんと決めるとそれなりの衝撃にも耐えてくれるが、回収が困難になる。一番使い勝手がいいのはペッカー。

【カム・ナッツ】
チョックストンの隙間にセットしたり、水中からの這い上がりでアブミを併用して這い上がったり、流れの強い場所でクラックに突っ込んでレストしたり、と多くの場面で使えるギアである。遡行必需品。片手でセット出来るというのも大きい。ナッツも使用するが、チョックストンではフレアーしてることも多く、決めづらいことも多いので、カムの威力は大きいだろう。
大きいサイズのナッツは、カムで代用できるため、持っていかないことが多い。通常の持参ギアは、エイリアンの緑〜赤、キャメロット#0.5〜#2、ストッパー#1〜4をそれぞれ各1ずつ持参すれば、大抵はなんとかなる。なお、沢に持っていったカムは、あとで必ず錆止めをしておこう。でないとあっという間に錆びて使えなくなる。

【ボルト】
つるつるの側壁に阻まれて、他のギアでは前進できない場合も多く、そのような場合にボルトを使用している。主にリングボルトとM8の工事用ボルトを利用しているが、後者は1本50円程度で使いやすく、リングボルトに比べて深く埋めることが出来、ぜい弱な岩質のゴルジュでは重宝される。リヴェットや、バットフック、リムーバブルボルトによる代用もあるが、使用する場所を選ぶ。
岩質によっては、キリをかなり消耗する場合もあるので、替えキリは持っていきたい。
なお、ボルトの多用は、後々登る人のことを考え、他のギアで転用出来る場合は、使用を極力控えたい。記録を残すのは結構だが、ギアの残置は将来登る人の楽しみを奪っているとも言える。

【アッセンダー】
最も使う器具の一つ。軽量化のためにロープマンとか持っていく人もいるが、多少重くてもアッセンダー1つはグリップのついたものを持っていきたい。

【フック】
ワンポイントのレスト用として、流れの中で休む際によく使われる。沢登りでの使用法としてはこれが最もオーソドックスなものかもしれない。引っかけながら泳ぐのは不可能である。
当然、クライミングでやるようなフッキングの用途もある。ノーマルなタイプに加えて小さめのひっかかりにも使えるようなタイプが1つは欲しい。バットフックがあればそれも。

【ハンマー】
ハーケン・ボルトを打つ事を考え、パーティーに1つくらいは打撃力の強いハンマーを持っていると心強い。軽いハンマーは役に立たない。ゴルジュの中からの高巻きは悪い草付であることも多く、アイスハンマーも必要になることもある・

【ロープ】
泳ぎのピッチには、カヌー用フローティングロープや工事用トラロープをほぐしたものもオススメである。(荷造り用ビニールヒモは非常に絡まりやすい)
最低でもアッセンダーが使えるφ8にすべきだ。また、大滝の登攀をするような場合やゴルジュの中への懸垂が考えられるケースでは2本以上の携行を心掛けたい。なお、登攀に際し、ダブルロープで登るか、1本をバックロープのようにして登るかどうかはその時の状況によっても異なる。3人パーティーの場合、この他にφ8の10〜15m程度のお助けヒモがあると、非常に便利である。アッセンダーが使える太さにしたい。(2人パーティーの場合は荷物の重さを考えると過剰装備でないか?)。

【アブミ】
ゴルジュ突破には欠かせない。ピン抜けして釜に落ちてあぶみを流してしまう可能性もあるので、必ずアブミと体をデイジーチェーンなどでつなごう。

【その他のギア】
●足ヒレ・・・白泡・激流の突破などで使えることもある。どんづまりが激流の場合に使用できなかったりと、水中からの這い上がりに問題を残すが、緩い泳ぎばかりが連続するところでは、非常に有効なギアである。沢靴を脱がずに直接履けるタイプが良い。

●水かき・・・足ひれをつけると上陸が難しくなるので、こちらの方が泳ぎが連続するところでは有効かもしれない。指先が出るタイプ(アリーナあたりが販売している)がよい。

●ナイフ・・・絡まったロープやスリングを切ることがあるかもしれないので、必ず身ににつけておく。過重がかかったロープを切断するのであれば、剪定用のはさみの方がよく切れる。
●たわし・・・壁のぬめり落としとして使用。スポンジたわしでも可。

●チョンボ棒・・・・・・手の届かない残置ボルトにクリップする際に使用。自作品。通常は50cm程度のものであるが、伸縮自在の指示棒をつけたもの、つり竿などを使って、数メートル上でも対応できるようにしたものもある。ツェルトのポールを使えば、ツェルトを張る際にも困らない?

●リヴェットハンガー・・・工事用ボルトを使用したり、浅打ちのリングボルトを使用したときなどは、リヴェットハンガーを使用すると良い。ナッツで代用可。

●スリング類・・・ハーケンを打つ場合には、根元まで入るとは限らないので、タイオフ用のスリングを多目に持っていくこと。あと、エイドルートと違って、高巻いて懸垂というパターンでスリングを残置する場面も多いので、多目に持っていくと良い。

その他にも、カメラのブロワー、浮輪、エアーマット、ビート板、トイレ吸盤、つば付き帽子、といったものを利用している例も見られる(トイレ吸盤は使ったものの取付より下に流された事があるので効果は疑問)。普段から使っている日常生活用品を創造力を働かせて利用するのが大事である。
posted by gorge13 at 22:00| Comment(0) | TrackBack(0) | ゴルジュ突破やろうぜ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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